ぐだぐだGamer日記

雑多ゲームの日常を記すぐだぐだな日記!

Fate/Wahrheit - プロローグ

 

 

―――――――――――望み。
誰かが抱き、届かなかった望みがあった。

―――――――――――願い。
誰かが思い、叶わなかった願いがあった。

―――――――――――真実。
誰かが求め、至れなかった真実があった。


そんなことを既に五度。
彼らは。彼女らは。繰り返していた。

先の見えない闇の中、誰かが佇んでいる。

 

まるで、次などないと諦めるかのように。
まるで、次なる何かに期待するかのように。

 

その人数は2人。立ち姿からして男女1人ずつだろうか。
立ちこめる闇の影響で顔は見えない。
そして2人が立っているその先には、何かがあった。

 

―――――――――――それは、杯。

 

明らかに杯に見えるそれが、1つずつ。
上も下も右も左もわからない闇の中に浮かんでいた。
ただ、両者の前にある杯には決定的な違いがある。


―――――――――――男の眼前に浮かぶ杯は漆黒に染まり。

―――――――――――女の眼前に浮かぶ杯は金色に輝いていた。


同じ形をしているであろう杯ではあるが、こうも違うものか。
杯の色を見た両者の表情が変わる。


それは笑っているように、見えた。


しかし、その表情の意味を知る者は誰もいない。
もしかすると当人ですら知らないのかもしれない。
続けて両者の口から何か言葉が発せられた。
だが……肝心の言葉は殆ど聞こえない。

 

―――――――――――"希望"と言ったように聞こえた。

―――――――――――"救い"と言ったように聞こえた。

 

それは眼前の杯に向けての言葉なのか。
この場にいない誰かに向けての言葉なのか。
誰もその意味を語ろうとはしない。
その言葉が合図であったかのように、より深い闇が辺りを覆い始める。
浮かんでいた2つの杯も序々に見えなくなってゆく。
それらが完全に見えなくなる前に、2人もまた踵を返した。
もはや言葉を発することなく。表情を変えることもなく。
先の見えない闇から遠ざかるように、歩き去って行った。


……これから始まる何かを、指し示すかのように。